AIエージェント「Manus(マナス)」がデスクトップアプリを正式リリースし、新機能「My Computer」を発表しました。
これまでクラウド上でしか動作しなかったManusが、ついにあなたのPCに直接入り込み、ローカルファイルやアプリを自律的に操作できるようになりました。
「AIエージェントが自分のPCを動かす」という体験は、AIツールの使われ方を根本から変える可能性があります。
「クラウドの壁」を突き破った歴史的アップデート
Manusは2025年3月に登場したAIエージェントで、「複雑なタスクを自律的にこなすAI」として世界的な注目を集めました。
ウェブリサーチ、コード生成、ファイル作成など多岐にわたるタスクをこなせる一方で、「クラウド上の隔離された環境でしか動けない」という制約が長らく課題でした。
今回リリースされた「My Computer」は、その壁をいっきに突き破るアップデートです。
Manusが初めてあなたのコンピューターに直接アクセスできるようになり、ローカルに保存されたファイル・アプリ・ターミナルを自律的に操作できます。
ManusはXへの公式投稿でこう述べています。
「私たちは常に、AIエージェントは単なるチャットアシスタントではなく、行動するエンジンであるべきだと信じてきた。
クラウドのサンドボックスはManusに独自のワークスペースを与えてくれた。
My Computerはあなたの作業環境へManusを連れてくる」
「My Computer」で何ができるのか? 4つの主要機能
① ローカルファイルの読み取り・整理・編集
PC内のフォルダをスキャンし、ファイルの内容をAIが判別。
写真を自動でカテゴリ分け、請求書を命名規則に従って一括リネームするなど、手作業なら半日かかる作業を数分で完了させます。
② ターミナル(CLI)からの直接操作
ManusはDesktopアプリを通じてコンピューターのターミナルでCLI命令を実行します。
Python・Node.js・Swift・Xcodeなどインストール済みの開発ツールを自在に呼び出し、Macアプリやウェブサイトのビルド・デバッグまで担います。
③ ローカルGPUの活用
ローカルのGPUを使って機械学習モデルのトレーニングやLLM推論をPCで実行できます。
クラウドAPIのコストを削減しながら、プライベートなデータを外部に送らず処理できるのは大きなメリットです。
④ リモートからの遠隔操作
自宅のMac miniやPCにManusを常駐させておけば、外出先からスマートフォンで指示を出すことができます。
「家のPCに帰宅前の処理を頼んでおく」という使い方が現実のものになりました。
プライバシーとセキュリティはどう守られるのか?
自分のPCをAIが操作するとなると、まず気になるのがセキュリティです。
特にMetaによるManus買収(2025年12月、約2,000億円規模)が話題になった経緯もあり、「Metaが自分のデスクトップを覗くのでは?」という懸念がXでも多数投稿されています。
これに対してManusは、以下の安全設計を明示しています。
- 明示的な承認制:Manusがターミナルでコマンドを実行する際、デフォルトでは毎回「Allow Once(一度だけ許可)」または「Always Allow(常に許可)」のいずれかをユーザーがクリックして承認する仕組みになっています。
- リアルタイムの操作ログ:AIがどのファイルにアクセスし、何を実行したかがサイドパネルに逐次表示されます。
- ローカルファースト処理:「LLMの頭脳」はクラウド上にありますが、ファイル管理のデータ処理は原則としてローカルマシン上で完結するとManusは説明しています。
ただし、AIにローカル環境へのアクセスを許可するという行為自体、セキュリティ専門家の間では慎重な評価が続いています。

業務での利用開始前に、アクセスを許可するフォルダや操作の範囲を明確に設定することが重要です。
「ローカルAIエージェント」戦争が勃発中
Manusの今回のリリースは、2026年2〜3月に急激に過熱した「ローカルAIエージェント競争」の一角をなすものです。
きっかけは、オーストリアの開発者Peter Steinbergerが個人で作ったオープンソースのAIエージェント「OpenClaw」が爆発的に普及したことです。
NVIDIAのCEO・ジェンスン・フアンが「次のChatGPT」と称したことでも話題となりました。
その後、OpenClawの制作者はOpenAIに採用されています。
この流れを受けて、各社がローカルAIエージェントへ参入しています。
- Manus(Meta):今回の「My Computer」(macOS・Windows対応)
- Perplexity:24時間稼働のPC操作AIエージェント「Personal Computer」を発表
- Anthropic:Claude Codeのリモート操作機能と、デスクトップ向けAI「Cowork」をリリース
- NVIDIA:エンタープライズ向けエージェントプラットフォーム「NemoClaw」を発表
OpenClawが無料・オープンソース(MITライセンス)なのに対して、Manusは有料サブスクリプション型。
「無料で使えるOSS vs. Metaのエコシステムと統合された有料サービス」という構図が、今後の競争軸になりそうです。
AIコース・動画編集ユーザーにとっての意味
「自分にとって関係ある話なのか?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、ローカルAIエージェントの普及は、あなたのデジタル業務の進め方を根本から変えるポテンシャルを持っています。
たとえば、このような活用が現実的になりつつあります。
- 動画編集者が「素材フォルダを整理してシーン別に振り分けて」と指示するだけで、数百ファイルを自動整理
- AI活用を学んでいる人が「このPythonスクリプトをデバッグしてローカルで実行して」と依頼し、手を動かさずに動作確認
- 副業・フリーランスで請求書管理をしている人が「先月の請求書を全部リネームして整理して」と指示し、午後の作業を丸ごと省略

これまで「AIはブラウザの中だけで動くもの」という前提がありましたが、その境界線が今まさに消えつつあります。
まとめ:AIは「クラウドの向こう」から「手元のPC」へ
今回のManus「My Computer」の登場は、AIエージェントがクラウドという「檻」を出て、私たちの日常の作業環境に踏み込んできたことを象徴する出来事です。
MetaというビッグテックがManusのエコシステムを後押しし、OpenAI・Anthropic・NVIDIAも同じ方向に舵を切っている以上、ローカルAIエージェントは2026年の主役技術の一つになることはほぼ確実です。
Manus Desktopは現在、macOS(Apple Silicon)とWindowsで利用可能。
Pro・Enterpriseプランに含まれており、無料プランでもトライアル利用ができます。

まずは小さなタスクから試してみることをおすすめします。
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