Adobe Premiere Proは、初心者から上級者まで幅広いユーザーが使用するプロの映像編集ソフトウェアで、映画、テレビ、YouTube動画などの制作に広く使用されています。
しかし、初めて使うときは、その多機能さに圧倒されてしまうこともあるでしょう。
本記事では、Premiere Proの基本的な操作をわかりやすく説明し、初心者でもスムーズに動画編集ができるようサポートしていきます。
Premiere Proの主な機能とは?
画像引用:Adobe公式サイト
Premiere Proは、カット編集、カラーグレーディング(色味調整)、音声編集、エフェクト追加などの多彩な機能を備えており、Adobeの他のアプリケーション(After Effects、Photoshopなど)とも連携しやすいのが特徴です。
また、複数台のカメラで撮られた素材を効率よく編集できる「マルチカメラシーケンス編集」や高度なトランジション(シーンの切り替わりのエフェクト)、手ぶれ補正などの編集テクニックもサポートしており、映像制作の自由度を高めてくれます。
初心者でも簡単に動画を編集できる一方で、クリエイターがより複雑なプロジェクトを作成する際にも強力なサポートを提供するのがPremiere Proの魅力です。
<2024年バージョン以降>Premiere Proアップデート後の大きな変更点
最新のPremiere Proのアップデートには、映像編集の効率を大幅に向上させるさまざまな変更点が含まれています。
今回のアップデートに伴い、下記の機能が変更・追加されました。
- 新規プロジェクト作成
- エッセンシャルグラフィックスパネル→プロパティパネル
- グラフィックテンプレート
- クロップがデフォルトのエフェクトとなった
- スクロールバー
これらの改良は初心者から上級者まで、幅広いユーザーにメリットをもたらします。
以下に、各機能の詳細な手順や操作の変更点を解説します。
新規プロジェクト作成
アップデートにより、新規プロジェクトの作成がパネルとして表示され、より簡単で直感的になりました。
新しいプロジェクト作成パネルでは、プロジェクト名の設定、保存場所の選択、テンプレートの選択がワンステップで行えます。
エッセンシャルグラフィックスパネル→プロパティパネル
エッセンシャルグラフィックスパネルの編集画面の名称が「プロパティパネル」に変更されました。
これにより、テキスト編集やエフェクト調整が簡単に行えるようになり、作業の効率が大幅に向上しました。
特に、テキストのフォントや色の変更がより直感的に行えるようになっています。
グラフィックテンプレート
今までのバージョンでは、エッセンシャルグラフィックスパネルに格納されていたテンプレートがグラフィックテンプレートパネルとして独立して
ユーザーは、テンプレートを使った編集がより簡単で効率的に行えるようになり、デザイン作業がスムーズになります。
クロップがデフォルトのエフェクトとなった
今までのバージョンでは、エフェクト一覧から適用する必要があったクロップ機能がデフォルトで実装され、その操作性も改善されました。
クロップエフェクトは、プロパティパネルでより簡単に調整できるようになり、クリップのトリミングや不要な部分の除去が迅速に行えます。
ユーザーインターフェイスの変更により、精密なクロップがスムーズに行えるようになっています。
新しい機能や改善点を活用して、映像制作のクオリティを高めましょう。
Premiere Proのソフトの立ち上げ方
以下のステップで、簡単にPremiere Proを起動できるようになります。
ソフトのインストールを確認する
ソフトを起動する
新規プロジェクトを作成する
画像引用:Adobe公式サイト
Premiere Proを立ち上げたら、まず「新規プロジェクト」を選択して編集作業を始めます。
ここでは、プロジェクトの名前を入力し、保存場所を指定します。
また、プロジェクト設定を確認してから「作成」をクリックすれば、新しいプロジェクトが開きます。
これで、編集作業を開始する準備が整いました。
既存のプロジェクトを開く
既に作成したプロジェクトを開きたい場合は、「プロジェクトを開く」を選択し、保存済みのプロジェクトファイルを指定するだけです。
これにより、以前の編集作業をそのまま続けられます。
これらの手順でPremiere Proをスムーズに立ち上げられます。
初めて使用する方も、まずはソフトの起動に慣れ、次の編集ステップに進んでいきましょう。
ワークスペースの解説
Premiere Proを効率よく使うためには、ワークスペースの理解が重要です。
ワークスペースは、動画編集に必要なパネルやツールが配置されている画面の構成です。自
分の編集スタイルに合わせてカスタマイズすることも可能で、作業の効率を大きく向上させることができます。
それでは、各パネルの役割について詳しく見ていきましょう。
ソースパネルとは
編集前の素材をプレビューし、必要な部分を選択してタイムラインに追加するパネルです。
プログラムパネルとは
タイムライン上の編集結果をリアルタイムでプレビューするためのパネルです。
プロジェクトパネルとは
メディアファイルやシーケンスを管理する場所で、素材を整理して効率よく使えます。
ツールパネルとは
編集作業に使用するさまざまなツール(選択、カット、ズームなど)が配置されているパネルです。
タイムラインパネルとは
映像や音声クリップを配置・編集するメインの作業エリアで、最終映像を構築するための中心的な場所です。
オーディオメーターパネルとは
音声レベルをリアルタイムで表示するパネルで、音割れや音量バランスをチェックするのに使用します。
ワークスペースの保存方法
ワークスペースをカスタマイズしたら、「ウィンドウ」→「ワークスペース」→「新規ワークスペースとして保存」で保存できます。
これにより、効率的な編集環境をいつでも再現できます。
動画素材データの読み込み
Premiere Proで動画編集を始めるには、まず素材データをソフトに読み込む必要があります。
素材データには、映像クリップ、音声ファイル、画像など、編集に使うあらゆる要素が含まれます。
ここでは、動画素材の読み込み手順を簡単に解説します。
ファイルを準備する
画像・動画をインポートする
タイムラインに画像を配置する
画像・動画のサイズや位置を調整する
エフェクトの追加(オプション)
画像・動画の調整後の確認
動画編集に画像を加えることで、情報を視覚的に強調したり、映像の演出効果を高めたりすることができます。
この手順を踏めば、動画素材の読み込みはスムーズに完了します。
素材を適切に管理し、編集作業に集中できる環境を整えましょう。
自動文字起こしの使い方
Premiere Proの自動文字起こし機能は、字幕の作成が格段に効率よく行えるようになります。
特に日本語対応もしているため、日本語の音声にも簡単に対応できるのが魅力です。
ここでは、自動文字起こしの使い方と、日本語の設定方法を詳しく解説します。
音声から文字起こしを生成する
その後、「文字起こし」ボタンを選択して、右上の3点メニューから「静的な文字起こしを生成」をクリックし、文字起こしの設定画面を開きます。
言語の選択
Premiere Proは複数の言語に対応しており、日本語もサポートされているため、音声が日本語の場合はこの設定が重要です。
選択が完了したら、「文字起こしの生成」をクリックします。
文字起こしの開始
音声データの長さに応じて、変換には多少の時間がかかる場合があります。
変換が完了すると、文字起こしされたテキストが表示され、字幕編集パネルで内容を確認・編集できるようになります。
テキストの編集と修正
テキストをクリックして編集できるので、誤字や聞き取りミスがあれば調整してください。(この作業はSTEP.5のキャプションを作成後にも行えます。一旦飛ばして後から調整しても問題ございません。)
字幕の作成
これで、動画に字幕を簡単に付けることができ、視聴者にとってよりわかりやすいコンテンツに仕上げることができます。
Premiere Proの文字起こし機能は、多言語に対応しているため、日本語を選択することで日本語の音声に対応した文字起こしが行えます。
上記の手順で「言語選択」をする際に「日本語」を選ぶだけで、音声を正確に文字起こしする準備が整います。
この機能を使うことで、字幕作成がより手軽になり、時間の節約につながります。
特に日本語の音声にも対応している点は、日本語の動画コンテンツを制作する方にとって大きなメリットですので、ぜひ活用してみてください。
カット編集する
画像引用:Adobe公式サイト
ジャンプカットは、動画内の不要な部分をカットして映像をつなぎ合わせる編集手法で、スムーズで引き締まった動画を作る際に非常に役立ちます。
インタビューやトーク形式の動画で頻繁に使われ、視聴者が退屈しないテンポの良いコンテンツを作成するのに効果的です。
ここでは、Premiere Proでのカットの手順をわかりやすく説明します。
カットツール(レーザーツール)を選択する
音声クリップの波形を見たり、その都度再生を行いながら必要な箇所を分割し、不要な部分を明確にしましょう。
また、Ctrlキー(macの場合コマンドキー)+Kを押すことで、再生ヘッドの位置でクリップをカットすることができます。
不要な部分を削除して詰める
削除後に残った空白部分は、クリップをドラッグして詰めるか、空白部分をクリックして選択→バックスペースキー(デリートキー)で詰めることができます。(上下のトラックにクリップがない場合に限る)
隙間をなくすことで、テンポの良い映像に仕上がります。必ずその都度再生を行いながら不自然にならないように確認しましょう。
トリミングする
また、クリップはカット以外にも選択ツールを使用してトリミングすることができます。
選択ツールを使ってトリミングする
トリミングしたいクリップの始まりまたは終わりにカーソルを合わせると、カーソルの形が「トリミングアイコン」に変わります。
この状態でクリックし、ドラッグすることで、クリップの長さを調整できます。
開始位置を短くすることで冒頭をカットしたり、終了位置を短くして末尾を削ることができます。
クリップのカットやトリミングの調整は動画のクオリティを大きく左右する重要な工程なので、丁寧に作業することを心掛けましょう。
テロップを入れる
動画にテロップを入れることで、視聴者に情報をわかりやすく伝えることができます。
最新バージョンのPremiere Proでは、これまでテキストの装飾を編集するために使用されていた「エッセンシャルグラフィックス」パネルが廃止され、「プロパティパネル」となりました。
ここでは、その方法をわかりやすく解説します。
テキストを挿入する
プログラムモニターをクリックして、テキストを入力します。これで画面にテロップが表示されます。
「プロパティ」パネルでスタイルを調整する
このパネルでは、フォントの種類、サイズ、色、テキストの位置などを簡単に設定できます。
また、テキストの縁取りや影を追加することで、見やすいテロップに仕上げることが可能です。
最新バージョンでは、「プロパティ」パネルにこれらのオプションが集約されているので、直感的に操作できます。
これにより、テロップの作成や編集がよりシンプルになり、細かい調整も容易になっています。特にプロパティパネルはテキストの見た目に関するすべての設定を行う場所として、初心者にもわかりやすく改良されています。
この新しい方法でテロップを作成し、動画に分かりやすい字幕を追加することで、視聴者にとってより魅力的なコンテンツを提供することができます。
テロップのリンクスタイルの保存方法
プロパティパネルにて作成したテロップのスタイルを保存しておくと、同じデザインを繰り返し使用することができ、編集作業の効率が向上します。
また、文字の変更方法を覚えておくことで、必要に応じて簡単に調整が可能です。ここでは、スタイルの保存方法と文字の変更方法を説明します。
スタイルを保存する
これにより、現在のテキストスタイルが保存され、次回以降の編集でも簡単に同じスタイルを呼び出すことができるようになります。
出てきたパネルにて、スタイルの名称を入力して「OK」を押します。
保存したスタイルを適用する
また、プロパティパネルからもクリップにドラッグ&ドロップで適用することができ、複数のテロップに一括で適用することもできます。
スタイルの再編集
スタイルを保存した後でも、後から変更することが可能です。
リンクスタイルの項目にある「スタイルを再定義」ボタンから更新することで可能です。
これにより、デザインの一貫性を保ちながらも、柔軟に変更を加えられます。このように、テロップのスタイルを保存しておくと、複数のテキストに統一感を持たせられるだけでなく、文字の変更も簡単に行えるようになります。
効率よく編集作業を進めるために、ぜひスタイル保存機能を活用してみてください。
動画にBGMや効果音を入れる
動画編集において、BGMや効果音を加えることで、映像の雰囲気をより引き立てたり、視聴者に特定の感情を伝えたりすることができます。
Premiere Proを使えば、簡単に音声ファイルを追加し、細かく調整することが可能です。
ここでは、BGMや効果音を入れる手順を解説します。
音声ファイルをインポートする
ファイルをPremiere Proにインポートするには、「ファイル」→「読み込み」を選び、音声ファイルをプロジェクトパネルに追加します。
ドラッグ&ドロップでも簡単にインポートできます。
タイムラインに配置する
BGMは通常、オーディオトラックの1つに配置し、効果音(SE)はシーンに合わせて適切な場所に配置します。
映像と音声が同期しているか確認しながら配置しましょう。
音量を調整する
オーディオメーターパネルで音量を確認する
BGMの適切な音量は、BGMがメインの場合は-12dB〜-24dB
音声がメインの場合は-20dB〜-30dBになるように設定しましょう!
動画を書き出す方法
動画編集が完成したら、次はプロジェクトを動画データとして書き出す作業に進みます。
Premiere Proでは、さまざまなフォーマットで書き出すことができ、用途に応じて最適な設定を選ぶことができます。
ここでは、動画をスムーズに書き出す手順を解説します。
書き出しメニューを開く
エクスポート設定を選択する
一般的には「H.264」フォーマットが広く使用されており、MP4ファイルとして書き出されます。
一旦ここでは、汎用性が高いプリセット「高品質1080p HD」に選択肢、書き出し範囲も「ソース全体」に設定しましょう。
書き出し
適切なフォルダに保存されているか確認し、わかりやすい名前を付けて右下の書き出しボタンで書き出しましょう。
まとめ
画像引用:Unsplash
Premiere Proを使った動画編集では、基本操作から高度なテクニックまで多くの知識が求められます。
この記事では、編集に必要なさまざまな技術を解説しました。
これらの編集テクニックをマスターすることで、視聴者にとって魅力的で見やすい映像を作成できるようになります。
ぜひこれらの知識を活用して、映像制作の幅を広げ、クオリティの高いコンテンツを作り上げてください。