近年はデザイン性とストーリー性を兼ね備えたインタビュー動画が注目されており、採用、ブランディング、商品紹介などさまざまな場面で活用が進んでいます。
しかし、ただ撮影して編集すればよいわけではありません。
この記事ではかっこよく効果的なインタビュー動画を作るための企画・撮影・編集のポイントから、質問例、撮影構図、費用感までを網羅的に解説します。
かっこいいインタビュー動画は企画で決まる

「かっこいい」「洗練されている」「印象に残る」インタビュー動画は、実は撮影や編集の前にすでに成否が決まっています。
そのカギを握るのが“企画”です。
企画の段階で、動画の方向性、伝えるべき内容、どんな雰囲気で見せたいかを明確にしておかないと完成した動画がなんとなく退屈だったり、伝えたいことがぼやけてしまう原因になります。
逆に、事前の企画がしっかりしていればシンプルな構成や短い尺でも、印象的で心を動かす映像を作ることができます。
インタビュー動画は情報を伝えるツールであると同時に、ブランディングの一部でもあります。

だからこそ企画の段階で「誰に・何を・どう届けるか」を明確にすることが、かっこいい動画作りの第一歩です。
なぜ目的設定とターゲット分析が重要なのか?
インタビュー動画のクオリティを左右するもう一つの要素が、「目的」と「ターゲット」の明確化です。
たとえば「採用活動に使う動画」と「商品紹介としての動画」では、話す内容も見せ方もまったく異なります。
目的がはっきりしていないと、質問の方向性もブレやすく、視聴者にとって価値のない映像になってしまうことがあります。
また、ターゲット分析も同じくらい重要です。
視聴者がどんな属性で何に関心を持っていて、どんな情報を求めているのかを把握することで、インタビュー内容に共感性や説得力を持たせることができます。

視聴者に「まさに自分のことだ」と思ってもらえる動画を作るためには、事前に“誰に向けた映像なのか”を徹底的に洗い出すことが不可欠です。
インタビュー動画の種類
一口にインタビュー動画といっても、その種類は多岐にわたります。
大きく分けると、以下のようなパターンがあります。
種類 | 主な目的 | 特徴 |
---|---|---|
お客様の声インタビュー | 商品・サービスの信頼獲得 | 実際の体験談によってリアルな説得力が生まれ、口コミ効果がある |
社員インタビュー | 採用活動で企業の魅力を伝える | 働く人の声で、職場の雰囲気や価値観を具体的に伝えることができる |
ブランディング動画 | 企業の理念・想いを発信 | 経営者やキーパーソンの言葉でブランドイメージを強化できる |
メッセージ動画 | 代表者・専門家の信頼性向上 | 経営陣や専門家のインタビューで、企業の姿勢や専門性を訴求できる |
ドキュメンタリー風 | バックストーリーの共有 | 裏側や工程、制作過程などを見せることでストーリー性と感情に訴える演出が可能 |
インタビュー動画を制作するメリット

インタビュー動画には、テキストや写真だけでは伝えきれない「人の温度感」や「リアルな声」を届ける力があります。
実際に話している人の表情や声のトーンから伝わる情報は、視聴者に強い信頼感や共感を生み出します。
たとえば、お客様の声を動画で紹介すれば、サービスや商品の説得力がぐっと増し、購入や契約への後押しになります。

社員インタビューでは、職場の雰囲気や人柄がリアルに伝わり、採用活動での企業理解を深める手助けになります。
さらに、動画はSNSやYouTubeなど複数の媒体で活用しやすく、継続的な情報発信にも役立ちます。
検索エンジン対策(SEO)の観点からも動画コンテンツは注目されており、サイトへの滞在時間やエンゲージメントを高める効果も期待できます。
このように、インタビュー動画は「共感」「信頼」「拡散性」の3つを兼ね備えた、非常にコストパフォーマンスの高いコンテンツです。
伝えたい想いや人の魅力をダイレクトに届けたいなら、ぜひ取り入れるべき手法といえるでしょう。
目的別!すぐに使えるインタビュー動画の質問テンプレート例

インタビュー動画の質は、「どんな質問をするか」で大きく変わります。
目的に合った質問を選ぶことで話し手の魅力を最大限に引き出すことができ、視聴者にも強く訴求できます。
ここでは、目的別にすぐ使える質問テンプレートと、インタビューを深めるためのポイントをご紹介します。
【お客様の声】感動と信頼を引き出す質問
顧客インタビューではリアルな体験と感情を伝えることで、共感と信頼を生み出すのがポイントです。
- ご利用前はどんな悩みや不安がありましたか?
- 何が決め手となってこの商品・サービスを選びましたか?
- 実際に使ってみて、どんな変化がありましたか?
- 一番印象に残っていることを教えてください。
- 同じような悩みを持っている方に、どんな言葉をかけたいですか?
これらの質問は「過去→現在→未来」と流れをつくることで、自然なストーリーが生まれやすくなります。
【社員インタビュー】共感と魅力を伝える質問
採用や企業紹介の動画では「この会社で働く人」の声を通して、リアルな職場の雰囲気や仕事のやりがいを伝えることが大切です。
- 現在の仕事内容と担当している役割を教えてください。
- 入社前と入社後で、印象が変わったことはありますか?
- 働く中でやりがいを感じる瞬間はどんなときですか?
- 会社のどんなところが好きですか?
- これから入社する人にメッセージをお願いします。

堅すぎない口調で質問することで、自然体で語ってもらいやすくなります。
【ブランディング】企業の想いを伝える質問
代表者や経営層へのインタビューでは、企業の理念や将来ビジョンを視聴者に伝えることが目的となります。
- どんな想いでこの事業を立ち上げましたか?
- 大切にしている価値観やミッションは何ですか?
- 現在のサービスや商品に込めた想いを教えてください。
- 今後の展望や挑戦したいことは?
- 視聴者やお客様に伝えたいメッセージをお願いします。
抽象的すぎる質問にならないよう、具体的なエピソードを促す言い回しを加えると深みが出ます。
深掘りする質問のコツとNGな質問は?
深掘りをするには、「どうしてそう思ったのですか?」「もう少し詳しく教えていただけますか?」といった掘り下げの一言を添えるのが効果的です。
また「そのとき、どんな気持ちでしたか?」と感情にフォーカスすると、より印象的なコメントが引き出せます。
反対に、避けたいのは「はい・いいえ」で終わるクローズドな質問や「難しくて答えにくい」「意図が伝わらない」質問です。
たとえば、「この会社は好きですか?」のような漠然とした聞き方では、深い話は出てきません。

話し手の緊張をほぐしながら、自然に本音を引き出すこと。
インタビュー動画の作り方
インタビュー動画を成功させるためには感覚だけに頼らず、段階ごとに丁寧な準備と設計を行うことが大切です。
ここでは、実際の制作工程を7つのステップに分けて解説します。
動画の目的やターゲットを決める
たとえば、採用向け動画なら応募者が共感できる内容が求められますし、商品紹介なら信頼感と使用感が伝わる構成が必要です。
目的とターゲットが明確になれば、質問内容や撮影の雰囲気も自ずと定まってきます。
動画のシナリオを決める
インタビューは自然な会話が基本ですが、話がブレないように大まかな流れ(導入→本題→まとめ)を事前に組んでおくことが重要です。
また、インタビュアーが使う質問リストもこの段階で準備しておくと安心です。
構成に合わせて撮影する場所や必要な機材を決める
オフィスや屋外、スタジオなど、目的に合ったロケーションを選びます。
また、カメラやマイク、照明などの機材も、クオリティを左右するポイントです。
必要な機材は事前にリストアップしテスト撮影も行っておくとトラブルを防げます。
スケジュールを決める
特に企業内インタビューの場合は、関係者の予定を早めに確保しておくことが大切です。
撮影だけでなく、準備・片付け・移動時間も含めて余裕を持った時間設計を心がけましょう。
撮影する
緊張しがちなインタビューでは、最初に軽い雑談やリハーサルを挟むことで自然な表情やトーンを引き出すことができます。
撮影中は、音声・構図・明るさに注意し、撮り直しが効くように複数のカットを用意しておくのが理想です。
編集する
話のつながりが自然になるようカットを整えたり、必要に応じてテロップやBGMを加えて視聴者の理解と集中をサポートします。
また、不要な間やノイズを除去してテンポよく見せることも大切です。
デジハクの卒業生インタビュー動画

動画編集スクール「デジハク」では、実際に学び、スキルを身につけた卒業生たちのリアルな声を動画で公開しています。
これらの卒業生インタビューは、単なる宣伝ではなく“本当に成長できた人の実例”を知ることができる貴重なコンテンツです。
インタビュー動画がおしゃれになる撮影テクニック

ただ情報を伝えるだけでなく洗練された印象や「かっこいい」と思わせる雰囲気をつくるには、撮影テクニックが欠かせません。
ここでは、インタビュー動画を“おしゃれに見せる”ための撮影の工夫を6つご紹介します。
三分割法でバランスの取れた映像
「三分割法」とは画面を縦横に3分割して9つのエリアに分け、その交点やライン上に被写体を配置する構図テクニックです。
人を真ん中に置かず、少しずらした位置に配置することで自然で動きのある画面になり、視覚的に洗練された印象を与えられます。
プロの映像制作では定番の技法です。
目線の法則を活用する
インタビュー動画では、話し手がどこを見ているかも重要なポイントです。
基本的には「インタビュアーの目線=カメラ横」に視線を向けてもらうことで、自然な会話の流れを演出できます。
逆に、視聴者に直接語りかけたい場面ではカメラ目線にするなど、目的に応じて目線を使い分けることで印象を操作できます。
背景を意識した構図
おしゃれなインタビュー動画には、背景にもこだわりがあります。
殺風景な壁ではなく観葉植物や本棚、オフィスの一角など、被写体の個性や企業の雰囲気が伝わる背景を選ぶことで、より映像に深みが出ます。

背景がゴチャゴチャしすぎないよう、必要に応じてぼかし(被写界深度)を使うのも効果的です。
自然光を味方につける画角
照明がなくても窓から入る自然光を上手に使えば、明るく柔らかい印象の映像が撮れます。
コツは、被写体の顔に斜め前から光が当たる位置に座ってもらうこと。
逆光にならないように注意しながら、自然な光の方向と画角を意識するだけで雰囲気のある映像が撮れます。
影をコントロールする
見落としがちなポイントが「影の処理」です。
強い照明や直射日光が顔に当たると不自然な影が出てしまい、印象が悪くなりがちです。
光を拡散するレフ板を使ったり間接照明で柔らかく照らしたりして、影の濃さを調整するとプロらしい画作りになります。
クリアな音声にするためにマイクにこだわる
いくら映像がきれいでも音声がこもっていたりノイズが多いと、視聴者の印象は大きく下がります。
ピンマイクやコンデンサーマイクなど、用途に合ったマイクを選び、できるだけ口元に近い位置で録音するのがベストです。

音の良さは動画全体の「質感」を決めると言っても過言ではありません。
インタビュー動画を撮影する際の構図

インタビュー動画の印象を大きく左右するのが「構図」です。
カメラワークや被写体の位置、視点の取り方ひとつで映像がグッと引き締まり、プロらしい仕上がりになります。
ここでは、配置・画角・アングルという3つの基本要素に分けて解説します。
配置:視線誘導とバランスを意識する
撮影時の配置で重要なのは、被写体の立ち位置や目線の向き、背景との関係です。
たとえば、三分割法を使って画面の左寄りまたは右寄りにインタビュイー(話す人)を配置することで、画面全体に余白が生まれ、視聴者の目線が自然と話し手に誘導されます。
また、目線の方向と逆のスペースを多めにとることで「視線の抜け」をつくり、開放感と安定感のある構図に。
背景には、その人らしさを感じられる要素をさりげなく入れるとストーリー性が生まれます。
画角:距離感と伝わる情報量をコントロール
画角とは、カメラが映し出す範囲のことです。
インタビューでは、基本的に「バストアップ(胸から上)」や「腰上」の画角が一般的で、話し手の表情や仕草がよく伝わります。
被写体との距離が近すぎると圧迫感を与え、遠すぎると情報が薄くなるため適度な距離を保つことが大切です。

背景が映り込む範囲にも気を配り、情報量が多すぎないよう整理することで視聴者の集中力を保てます。
アングル:印象を操作する目線の高さ
アングルとは、カメラの角度のこと。
基本は、話し手の目線と同じ高さで撮影する「アイレベルショット」が自然で親しみやすく、インタビューではもっとも使われるアングルです。
少し下から見上げるローアングルにすると、話し手が力強く見えたり威厳を与える演出ができます。
逆に、やや上からのアングルは柔らかく親しみやすい印象を与えます。
誰に向けたインタビューなのか、どう見せたいのかによって、アングルを工夫するとより印象的な映像になります。
インタビュー動画の制作費用

インタビュー動画の制作費用は、依頼先の制作会社や地域、撮影日数や編集内容の複雑さによって大きく変わります。
そのため費用の目安としては幅がありますが、一般的には20万円から50万円程度が多いと言えます。
項目 | 相場の目安(税込) | 内容の概要 |
---|---|---|
企画・構成費 | 3万〜10万円 | インタビューの目的設計、質問内容、シナリオ構成など |
撮影費 | 5万〜15万円/日 | カメラマン1名〜2名体制。機材費や交通費が含まれる場合もある |
編集費 | 5万〜20万円 | カット編集、テロップ挿入、BGM・効果音追加、色補正など |
ナレーション・音声 | 2万〜8万円 | プロのナレーター起用や音声収録のクオリティ向上など |
モデル・出演者費 | 3万〜10万円(必要時のみ) | 社員以外の出演者やナビゲーターを起用する場合 |
スタジオ・会場費 | 2万〜8万円/回 | 屋内スタジオやロケ地を借りる場合の費用 |
全体パッケージ | 20万〜50万円(一般的) | 上記を含めたパッケージプランとして依頼されるケースが多い |
費用を抑えたい場合は動画の目的を明確にし、社内のスタッフや機材を活用する方法も有効です。
ただし、その場合はクオリティを保つための工夫や調整が必要になります。
また、フリーランスに依頼すると比較的安価に済むことがありますが、品質管理や納期の調整には注意が必要です。
依頼前にしっかりと見積もりや実績を確認し、自分たちのニーズに合った依頼先を選ぶことが重要です。
かっこいいインタビュー動画に関するよくある質問

短すぎると伝えたい内容が薄くなり、長すぎると視聴者の集中力が続かないためです。
YouTubeやSNSでの視聴を考えると、3分前後を目安に、重要なメッセージをコンパクトにまとめるのがおすすめです。
特に、話し手の名前や肩書きを表示したり、ポイントとなるキーワードを強調したりすることで動画の見やすさとプロらしさがアップします。
また、音声が聞き取りにくい環境でも内容が伝わるため、多くの視聴者に親切な配慮と言えます。
例えば、「仕事以外で最近ハマっていることは?」「思わず笑ってしまったエピソードは?」など、話し手の人間味が伝わる質問は視聴者の興味を引きやすくなります。
ただし、場の空気や相手の性格を考慮して質問を選ぶことが大切です。
例えば、インタビュー対象者の紹介や「今回の動画で伝えたいこと」を冒頭で明確にすることで、視聴者が内容に入り込みやすくなります。
また、明るく親しみやすい雰囲気づくりも心がけましょう。
まとめ

かっこいいインタビュー動画を作るためには、まず企画段階で目的とターゲットを明確にすることが重要です。
目的に応じた質問内容や動画の構成をしっかりと練り、撮影場所や機材の準備を整えることでスムーズな制作が可能になります。
撮影では三分割法や目線の法則を活用した構図づくり、自然光を取り入れたライティング、そしてクリアな音声収録にこだわることが映像のクオリティを高めます。
編集では、適切なカットやテロップ挿入で視聴者の理解を助けテンポよく見せることが大切です。
さらに、動画の長さは視聴者の集中力を考慮し、3分から5分程度がベスト。
テロップや面白い質問を取り入れることで、視聴者に親しみやすく、飽きさせない動画になります。

オープニングで明確なテーマを伝えることも、視聴者を引き込むポイントです。