2025年6月18日 — 日本最大級のチケットエージェンシーであるぴあ株式会社は、自社システム開発の内製化を加速させるため、自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」を導入しています。
導入支援を行ったのは、ITシステム構築支援を手掛けるウルシステムズです。
同社は6月17日、この取り組み内容を発表しました。

ぴあは、2,200万人を超える会員と約3万8,000カ所の販売ネットワークを有する業界大手です。
近年、デジタル化の進展や顧客ニーズの多様化に対応するため、迅速なサービス提供を実現する必要性が高まっています。
そのため、システム開発の内製化を推進し、開発速度と柔軟性の向上を目指す取り組みを進めています。
2025年春、ぴあはIT共創開発部を新設し、自社エンジニアによる事業ニーズに即したシステム開発を可能にする体制を整えました。
今回の「Devin」導入は、その内製化戦略の一環と位置づけられます。
「Devin」の活用内容
ウルシステムズが提案した「Devin」は、自律的にソフトウェア開発業務を支援するAIです。
IT共創開発部は2025年3月から活用を開始し、現在は品質管理分野に重点を置いています。
具体的な活用例は以下の通りです。
- 単体テストコードの自動生成
- UI修正後のブラウザーテスト
- 既存サービスのリバースエンジニアリングによる仕様明確化
- 開発ドキュメントの定期的なメンテナンス
- 「Devin Wiki」を用いた既存コード資産の全体像把握
- 類似機能のソースコード作成
効果と今後の展望
利用開始から2か月間で、IT共創開発部は生産性向上を実感しています。
ウルシステムズは品質向上に加え、少人数体制での開発効率を大幅に引き上げることを期待しています。
ぴあは今後、品質管理にとどまらず、内製開発全般への「Devin」適用を拡大する計画です。
AIを活用した指示精度向上と環境整備により、システム開発全体の生産性をさらに高めることを目指しています。
市場動向
生成AIを活用したシステム内製化は、金融、製造、サービス業など多くの業界で注目されています。
特に少人数で迅速に開発できる体制構築は、多様化する顧客ニーズに対応する上で重要な課題となっています。
ぴあの事例は、こうした流れの中での先行例となる可能性があります。
課題と展望
一方で、生成AIの活用には品質保証、セキュリティ、運用コストなどの課題も存在します。
今後はAI導入の成果を定量的に評価し、効果的な活用方法を確立することが求められます。

ぴあの取り組みは、他企業にとっても参考になる先進事例になると考えられます。