この記事でわかること
- インハウスデザイナーについて
- インハウスデザイナーの特徴
- インハウスデザイナーのなり方
Webデザイナーには「インハウスデザイナー」という働き方があります。
本記事では、インハウスデザイナーになるための方法や必要なスキルを紹介します。
インハウスデザイナーに興味がある方や「仕事とプライベートをなるべく両立したい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
インハウスデザイナーとは
インハウスデザイナーの語源は「in-house」で組織内や社内で活躍するWebデザイナーのことです。
Web制作会社に勤めるWebデザイナーは、外部の企業からの依頼を受けて制作をしますが、インハウスデザイナーは、自社の商品やサービスの作品を手がけます。
ヤマハやSONYなどの企業では、内部のデザイナーがパンフレットの作成やWebサイトの設計を行なっています。
インハウスデザイナーは「社内デザイナー」や「企業デザイナー」ともい言われています。
インハウスデザイナーのなり方2ステップ
インハウスデザイナーになるには2つのステップがあります。
これからインハウスデザイナーを目指したい方はぜひ参考にしてください。
1.美術学校や専門学校などの教育機関で学ぶ
まずは美術学校や専門学校などで、スキルや知識を身につける必要があります。
高い専門性を学べるだけでなく、新卒で採用してもらえる可能性もあるからです。
Webデザインスクールに通ったりフリーランスになったりしてインハウスデザイナーを目指す方もいますが、日本は新卒一括採用の風習があるので厳しいでしょう。
ですからまずは、教育機関でWebデザインを学び、就職活動をしてインハウスデザイナーになるのがおすすめです。
2.インハウスデザイナーを雇用している企業に勤める
インハウスデザイナーを雇用している企業を探して就職活動をしましょう。
インハウスデザイナーになる場合、幅広いWebデザインの知識やスキルが求められます。
企業内には多くのWebデザイナーがいなく、Webサイトの設計や、構築・グラフィックデザインの知識が求められるからです。
そのため、在学中にデザイナーとして多くの経験をしておくのがおすすめです。
インハウスデザイナーの仕事内容
インハウスデザイナーの仕事内容はデザインとそれ以外の業務に分けられます。
ここでは、インハウスデザイナーの主な仕事内容の2つを紹介します。
デザイン業
まずはデザイン業です。
インハウスデザイナーは、自社ブランドの商品やサービスのデザインを担当します。
具体的には以下のとおりです。
- 顧客に配布するパンフレットのデザイン
- ポスターやチラシなどのデザイン
- 企業サイトのデザイン
- 自社商品のパッケージ
自社のコンテンツが多いほど、担当するデザインの幅は広がります。
企業全体のイメージや売上につながる役割を担います。
デザイン以外の業務
インハウスデザイナーは、企業内で一人の場合もあります。
そのため、社員が少ない企業では、デザイン以外の業務を担うケースも珍しくありません。
たとえば、外注先のWebデザイナーのスケジュール管理や、予算管理などの事務仕事が挙げられます。
また、マーケティングやWeb販促を担当する場合もあります。
Web制作会社は、企業から受注したデザインを制作するのがメインですが、インハウスデザイナーは、デザイン以外の仕事も経験できるのが魅力のひとつです。
インハウスデザイナーになるために必要なスキル
インハウスデザイナーに必要なスキルは多岐にわたります。
ここでは、インハウスデザイナーに求められるスキルを5つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
コーディングスキル
コーディングスキルとは、Webサイトを構築したり修正したりする際に使用するコンピューター言語です。
具体的には以下のようなスキルがあります。
- HTML
- CSS
- PHP
- Ruby
コーディングスキルは、Webサイトの決済システムや購入画面を設計できます。
グラフィックデザインスキル
グラフィックデザインとは、写真の加工やイラストの作成をするためのスキルです。
PhotoshopやIllustratorなどの編集ソフトを使用して雑誌内の写真を加工したり、ポスターやロゴをデザインしたりするのが主な仕事です。
インデザインスキル
InDesign(インデザイン)とは、出版物を制作するのに必要な編集ソフトです。
書籍や雑誌・パンフレットなどのページ管理が必要な際に使用します。
インハウスデザイナーは、企業内のパンフレットなどを作成する機会があるので、身につけておくべきスキルです。
マネジメントスキル
インハウスデザイナーは、外注先のWebデザイナーや他部署とのやり取りも行います。
また、企業内に一人しか配属されない場合もあるため、業務を継続させる進行力や管理能力が必要です。
コミュニケーションスキル
インハウスデザイナーは、相手に意見を伝えたり意図を汲み取ったりする能力が必要です。
外注先や外部のデザイナーと話し合った内容を、他部署や企業内の社員に伝える必要があるからです。
また、作品をブラッシュアップしていくためにも、議論をしたり信頼関係を構築したりしなくてはいけません。
それぞれの意見を尊重しつつ、デザイナー視点を持って取り組むコミュニケーション能力が必要です。
インハウスデザイナーのメリットや強み
インハウスデザイナーは、作品に長期で関われたり好きなことを仕事にできたりします。
ここでは、インハウスデザイナーのメリットや強みを4つ解説します。
デザイン以外の業務に関われる
インハウスデザイナーは、企業内に人数が少ないのでデザイン以外の業務を任されます。
企画・立案からマーケティング・販促まで担うことも少なくありません。
他にも、ポスターやパンフレット・社内の資料作成のスキルなどが求められます。
幅広くWebデザインを学びたい方にはおすすめです。
一つの作品に長くかかわれる
Web制作会社では、多くの案件に取り組み、納期までに仕上げたら終了です。
しかしインハウスデザイナーは、2〜3個のプロジェクトに参画し、制作からマーケティングまで行います。
長くプロジェクトにかかわれるので、商品やサービスに対して情熱を持って取り組めるでしょう。
好きなジャンルにかかわれる
自身の好きなジャンルにかかわれるのもインハウスデザイナーのメリットです。
たとえば、健康食品が好きな方は、オーガニック食品の情報を集めたり、実際に使ってみたりしながらWeb制作ができます。
自分の経験や知見がWebサイトのデザインに反映されることもあるでしょう。
実益と得意を持ち合わせて業務ができるのは、インハウスデザイナーの特徴です。
労働時間が比較的優遇されている
インハウスデザイナーは、会社員なので就業規則に基づいて業務を行います。
自社商品やサービスを取り扱っているので、納期に間に合わせるようなことも少ないです。
そのため、ワークライフバランスを意識したい方にはおすすめです。
インハウスデザイナーのデメリット
インハウスデザイナーには、2つのデメリットがあります。
具体的に解説するので、参考にしてください。
すべての業務を請け負う必要がある
インハウスデザイナーの仕事は多岐にわたるので、業務量が多くなりがちです。
デザインの知識が少ない他部署に説明をするのも大変でしょう。
外注先のWebデザイナーが体調を崩したり辞めてしまったりした場合は、その業務を請け負う可能性もあります。
少人数で多くの業務を回す必要があるのが現実です。
スキルが狭まってしまう可能性がある
インハウスデザイナーは、企業で決められたスキルを使い続けるので、デザイン力が狭まる可能性があります。
Webデザイナーとして活躍し続けたいのであれば、副業でスキルを磨いたり、勉強会に参加したりして積極的に学ぶ必要があります。
インハウスデザイナーに向いている人の特徴
インハウスデザイナーには、スキルと人間性が大切です。
ここでは、インハウスデザイナーに向いている人の特徴を2つ解説します。
1.自走力がある
インハウスデザイナーは、自走力が求められます。
自走力とは、自分で調べて解決する能力のことです。
先述しましたが、インハウスデザイナーは部署に一人や少人数です。
そのため、わからないことをすぐに聞ける環境ではありません。
入社したばかりの頃は、右も左も分からないので先輩社員に聞くことはあるでしょう。
ある程度経験を積んできたら、仮説を立てて改善を繰り返したり検索力を高めたりする必要があります。
2.他部署とやり取りができる
インハウスデザイナーは、他部署とのやり取りが必要不可欠です。
ときには、企業内の社員と意見が合わないこともあるでしょう。
そのようなときに、中間的な意見を取り入れたりうまく説明したりする必要があります。
他人とのコミュニケーションを問題なく取れる方は、インハウスデザイナーに向いています。
インハウスデザイナーの求人を見つけるには?
インハウスデザイナーの求人を見つけるには以下の2つの方法があります。
- 求人サイトで探す
- 大学などの学内の求人情報から探す
- 企業のHPで探す
それぞれ順番に解説します。
求人サイトで探す
求人サイトで探す場合は、職種の欄に「Webデザイナー」と入力するこで検索できます。
いくつかの求人情報が出てくるので、仕事内容や必要な資格・経験年数などの内容を確認します。
気になった求人があれば、ポートフォリオを用意して応募してみましょう。
大学などの学内の求人情報から探す
美術系の大学や専門学校に通っているのであれば、インハウスデザイナーの求人が多く寄せられます。
その中から選んで応募してみるのもいいでしょう。
企業によっては、インターンを募集している場合もあります。インターン中に企業から内定をもらい、そのまま就職できる可能性もあります。
企業のホームページから探す
企業のホームページから直接応募する方もいます。
検索エンジンから「インハウスデザイナー 求人」と調べて企業のホームページの問い合わせから提案文とポートフォリオを送り、面接を依頼する方法です。
成功率は低いかもしれませんが、数多く応募すれば何件か通過する可能性もあります。
インハウスデザイナーに関するよくある質問
インハウスデザイナーに関するよくある質問について、一つ一つお答えしていきます。
社内デザイナーの年収はいくら?
経験年数によって大きく異なりますが、平均年収は450万円前後であることが多いです。
スキルが高いインハウスデザイナーであると年収400~700万円もあり得る価格です。
制作会社のデザイナーよりも好条件であることもあるようです。
インハウスデザイナーとデザイン会社の違いは何?
インハウスデザイナーとデザイン会社の大きな違いは
- インハウスデザイナー:自社ブランドの制作物
- デザイン会社:外部の企業から依頼された制作物
デザイナーとしての仕事は同じですが、依頼元が違うのです。
「インハウスデザイナー」の言い換えは?
上記でもお話しましたが、インハウスデザイナーは組織内や社内で活躍するWebデザイナーのことです。
言い換えすると
- 社内デザイナー
- 企業内デザイナー
上記の通称で呼ばれることもあります。
インハウスデザイナーで有名な大手企業一覧は?
インハウスデザイナーの有名な大手企業は下記の通りです。
- ヤマハ
- 富士フイルム
- パナソニック
この他にもインハウスデザイナーを採用している大手企業としては
- トヨタ
- SONY
- 日立
- 三菱
- 楽天
などもあります。
自社内にデザインやクリエイティブの部署があるため、インハウスデザイナーと多く採用しています。
インハウスデザイナーはつらい?課題とは?
インハウスデザイナーのデメリットは上記でお話してきました。
一方、デザイナーとして社内デザイナーのみであると、その他のクリエイティブに触れる機会がなくデザイナーとしてのスキルアップが難しいことが課題となっています。
インハウスデザイナーも選択肢として持っておきましょう!
インハウスデザイナーは、デザインスキルを狭めてしまうかもしれませんが、制作から販促までの一連の流れを学べます。
また企業内で完結する業務が多いので、スケジュールには余裕があり、仕事とプライベートの両立がしやすいです。
広くスキルを身につけたいや、定められた労働時間内で働きたいと考えている方は、検討してみてください。
この記事のまとめ
- インハウスデザイナーになるには大学や専門学校などの教育機関で学ぶのがおすすめ
- インハウスデザイナーはデザイン全般のスキルが身につけられる
- インハウスデザイナーはデザイン力が狭まりやす